消費税のインボイス制度への対策

インボイス制度がいよいよ10月から始まります。

もう10年近く前からインボイス制度が始まることは知っていましたが、これは、ヤバいだろうなと思いました。

ここでは、インボイス制度の詳細は述べませんが、どういう事業者が大変になってくるかというと、

「消費税分を価格へ転嫁することが難しい事業者」

です。わかりやすい例を挙げれば、下請け企業(工事をしたり、部品を製造する企業)や農家です。

企業努力でなんとかしようとされると思いますが、それでも対応できない企業もあるでしょう。

では、どうすればよいのでしょうか?

抜本的な対応策は大きく三つあります。

①廃業する
インボイス制度が始まる前に廃業してしまえば、インボイス制度と直接かかわることはなくなります。
そして、収入が欲しい場合は、会社に勤めて、消費税がかからない給与を得て生活するというものです。

②事業形態を変える
価格転嫁をしやすい事業態に変えるということです。例えば、元請から仕事をもらうのではなく、直接顧客から仕事を貰うというような事業形態にすれば、幾分消費税分を転嫁しやすいでしょう。

③必ず帳簿を付けるようにして、消費税を「仮受消費税」と「仮払消費税」と仕訳処理をきちんとして、「仮受消費税」から「仮払消費税」を差し引いた金額は、絶対に事業資金や生活費として手を付けない(余裕があれば、仮受消費税にも申告・納付するための消費税額が計算してわかるまで手を付けない)
これは、消費税の滞納をしないためです。一旦滞納が発生してしまうと、自転車操業の事業者は、

X1年分滞納発生→X2年分の仮受消費税からX1年分の滞納分を納付→X2年分の消費税の納付資金がなくなり、X2年分の消費税を滞納→X3年分の仮受消費税からX2年分の滞納分を納付→以下同

という流れになり、消費税の完納が難しくなります。ですから、繰り返しですが、きちんと帳簿を付けて、消費税を「仮受消費税」と「仮払消費税」と仕訳処理をきちんとすることが重要です。しかも、インボイス制度が始まる一番最初の年が一番大事です。最初につまづくと、後もつまづきやすいです。

残念ながら、今後、インボイス制度の導入に伴う消費税の滞納が全国的に激増すると思います。

世間的には、今だインボイス制度の廃止運動が起こっていますが、国税当局としては、2018年頃~散々広報活動をしてきた(私も、各自治体の広報誌や、税務署の各種協力団体を通じて広報事務に携わっていたのでよく知っている)ので、今更反対運動をされてもなというところであるのではないでしょうか(つまり、インボイス制度は予定通り始まります)。

ただ、気になっているのは、インボイス制度が始まる令和5年10月1日は、今のところガソリンの補助金がなくなることです。

今年の秋以降、ガソリン価格の高騰がそのまま物価に反映されることになりますので、インボイス制度による納税負担増と価格高騰によって、日本経済の背骨がバキッと折れるのではないかと私は懸念をしています。

タイミング的に重なるようになっていたのでしょうね。
(ついでに、日銀が物価高騰を理由に利上げをしそうな時期でもあります。)